開催日時: 2019年3月11日(月)18時00分〜20時00分 (企画展示:11時30分〜20時15分)

開催場所:信毎メディアガーデン

実施概要:2011/3/11の東日本大震災から8年が経過し、その間に地震、豪雨などの自然災害が各地で多発している。これらの災害の経験がどの様に生かされ、防災減災につながっているのかを検証しながら、今後の「防災とメディア」をテーマにして、市民への防災意識向上や災害有事・復興の取り組みについて協働可能性を探る企画として、本ワークショップを設定した。

 近年の自然災害発生時おいては、「今まで経験したことがない」と常に言われるほど、被害が甚大になる傾向が多い。これまでの経験や歴史に残された情報から作られたマニュアルに頼るだけでなく、市民自らが考え行動しなければならないケースが増え、特にメディアからの情報が重要になっている。時代とともに市民のメディアの利用形態が大きく変化し、市民自らが発信する情報がメディアを駆け巡るなど、流通する情報の質・量も変化する中で、防災/減災に対するメディアと市民の今後の役割や協働の可能性を考えるために、メディアが災害時において果たし来た役割や、記憶や記録としての情報を繋ぐためのアーカイブの活用方法などに関する情報提供と、防災意識向上に向けたワークショップを本企画内で実施した。

プログラム:

【イントロダクションセッション】

・災害時の記録と報道からみるメディアの使い方

  信濃毎日新聞編集委員 長戸文秀

  信濃毎日新聞松本本社報道部写真記者 米川貴啓

・防災減災につなげるためのアーカイブ~2014 年神城断層地震~

  信州大学教育学部 廣内大助

※ファシリテーター:大阪大学全学教育機構 中村征樹

 グラフィックレコーダー:中尾有里

【ワークショップ】

・わたしがつくる「つぎの防災・減災」

  テーマ「防災減災にむけて社会のためにできること」
  参加者数:52名

当日の様子:

●イントロダクションセッション

 はじめに、信濃毎日新聞の長戸文秀編集員、米川貴啓写真記者より、「災害時の記録と報道からみるメディアの使い方」をテーマに、災害報道とは何かを?これまでの新聞報道の例に、新聞が何を伝えてきたのかという情報共有がなされた。その中で、災害発生時は、現場の近くに行って記録すること、発生時だけで無くその後の復興をふくめた取材を続けること、それらによって現場の変化や被災者の悲しみも伝えていくことで、今(未来)に生きる情報を伝えたい、ということが、現場活動の葛藤の様子も加えながら語られた。また、その後の被災地域だけの取材だけでなく、災害後、その場で暮らすことが出来なくなった方々も含めた調査をすることで、PTSDやサバイバーズギルドなどの現状も浮き彫りになってきたことが伝えられ、報道機関としての役割の大切さを話された。最後に、市民のメディアに対する向き合い方についての話題になり、情報の選択制が増える中で、確かな情報はなにか?この報道は何をつたえているのか?など、市民が情報の受け手では無く、活用の主体となってほしい、というメッセージが発せられた。

 つぎに、信州大学教育学部の廣内大助教授より、「防災減災につなげるためのアーカイブ」をテーマに、記録(記憶)をアーカイブし、未来に活かすことについての情報提供がなされた。その中で、まずデジタルアーカイブの特徴として、記憶を「まるごと」残していくことで、どこで何が起きたのか、どの様に現場対応が行われたのか、などをそのままの記録を今に残せること、また、現地の人が当時の様子を、直接語られることで、アーカイブの視聴者は、自分事として当時の様子をイメージできること、などが伝えられた。これらが、新聞等のマスメディアでは伝え残すことができないことで、古い記憶を今につなげることができるデジタルアーカイブの可能性が述べられた。また、その活かし方については、現在、小学校などの学校教育や地域学習の素材として使うことで、自分たちで考える地域防災につなげていく取組が紹介され、多世代の協働学習への展開や、 自分たちで使えるアーカイブになるようにアップデートしていくことの可能性が、語られた。

最後に、最近のメディアとしてのSNSを含め、新聞、デジタルアーカイブの役割について、災害発生時からの時系列的に、その役割が変化していくことについての話題提供が行われた。

●ワークショップセッション

ワークショップでは、参加者がグループにわかれ、対話をとおして、1つのテーマについて考えることを行った。

ワークショップテーマ:「防災減災にむけて社会のためにできること」

ワークショップ参加者数:28名、グループ数:7

 ワークショップでは、イントロダクションセッションの感想を共有→テーマについて個人で検討した→グループ内での共有→グループのまとめ、と順に進めた。

 グループディスカッションでは、「防災教育の在り方」「災害時の情報発信と共有」「日常生活での防災減災」「地域と災害との関係」など。幅広いテーマについての対話が行われた。

 各グループの発表のまとめ:  

・まちづくりが重要(地域の特徴に併せること。お互いを知ること)

・防災教育を広めるための学校教育のありかた。

・他人ごとにしないように、個人の取組を広げ得る(情報の記録、発信)

・次の次を考えるために、正しい情報を集め、共有する。

・何を伝えるか。伝えたいことと聞かれることのズレ。伝いたい相手は?

・過去に頼る(知る)ことだけが防災ではない。アーカイブを使って一歩でも超える防災減災を考え、動く!

・安全な行動に繋げるためには、学ぶ知識で終わりにせず、自分ごととして捉えられるように。

●まとめ

 最後に、「普段から防災減災を意識した行動を取ることの大切さ(日常の行動がつなげられるように。ちょっとした意識の変化)」や、「関連する情報について家族を含めた周囲で共有することで、災害発生したさいの次の一歩につなげること」、「一人で考えずに、それぞれの立場を理解しながら一緒になって考えていくことで、継続して関わりをもっていく」ことを、参加者と共有しながらワークショップを終えた。

●企画展示

内容

・災害関連記事のパネル展示(信濃毎日新聞協力)

 1960年代の記事から現在までの記事のなかから、関連記事約40点を展示。

・神城断層地震震災アーカイブ(http://kamishiro.shinshu-bousai.jp/